カフカについて知るための必須書籍一覧【解釈・分析・研究】

 

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画像はWikipediaより

ドイツ語文学を語るうえで、フランツ・カフカの存在は無くてはならないのは言うまでもありません。

「変身」「城」「審判」「掟の門」・・・多くの傑作が、彼の手によって作り出されました。

カフカを知ることは、当時のユダヤ民族についてや後世の作家に及ぼした影響、そして彼の作り出した素晴らしい作品の舞台裏を知るということしょう。

 

ここでは自分の忘備録もかねて、そんなカフカを知る上で必要となる関連書籍をまとめました

ついでに面白いと思った本も後ろの方にちょっと書いてます。

これからカフカを研究しようと思っているがどこから手を付けていいか悩んでいる人や、カフカの作品に興味を持ったのでどんな人が書いたのか知ってみたい、という人の助けになると思いますよ。

 

ちなみに各文書の紹介にある星マークは専門家でさえもない私の独断と偏見で勝手につけているだけです。

 

カフカとの対話』

グスタフ・ヤノーホ著

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カフカとの対話 手記と追想 (始まりの本) [ グスタフ・ヤノーホ ]
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研究向け  ★★★★★

読み物向け ★★★★★

カフカの事を知りたいならコレ、ですね。

多くの論文がこの書籍から引用しています。

しかもカフカの人となりが伝わりやすい小説チックな会話形式なので、読み物としてもとても面白い。

二回りも違うヤノーホ少年とカフカの歳の離れた友情には心温まるものがあったりします。

さらに彼の繊細な感性や真摯さの表現は哲学書自己啓発として見なしても優秀です。

たぶん世でよく言われるカフカの名言もここから来ているものが多いのじゃないでしょうか。

 

私のお気に入りは以下です。

「言葉は手段ではない。人々の思いを仲介する、言葉は永遠の恋人だ」

「(嫌味な追及を受けた後)彼はおびえて、公正さを失っているに過ぎないのです。自分の生活が安定しない時、人は依るべき岩礁も身を守る殻もなく周りの人間に強酸をかけて離そうとしてしまう。しかしそうした抗議に終わりはないのだから、人が自分を恥じないためになすべきなのは、忍耐し強酸を飲み下すことです」

他にももっとありますが尺が長くなるのでこのぐらいに留めます。

カフカの人となりを知るのなら、これを読んでおけばいいでしょう。

 

※ただしここで紹介している増補版は著者の偽書疑惑が出ています。すべて信頼できる著述かどうかは今ではもう知る術はありません。

 

カフカ

マルト・ロベール著

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研究向け  ★★★★☆

読み物向け ★★★☆☆

カフカ表現の技巧的な面に関して研究した文書です。

どうしてこの表現を用いたのか? ここの描写にはどんな意図があるのか? ということが丁寧にまとめてあります。

正直に言うと内容はほとんど忘れてしまいました。が、小説解釈の本なので興味深く読めていたような記憶があります。

 

カフカのように孤独に』

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研究向け  ★★★★☆

読み物向け ★★☆☆☆

カフカ」と「カフカのように孤独に」は同著者です。

こちらはカフカの置かれた歴史や社会の状況や、彼に影響を与えたものについて書かれています。

カフカとイディッシュ劇の関係やユダヤ教や、オトラデクについて等々。

そうとうカフカに興味がないと一般の人は読むのに苦労するかもしれない。(と私は勝手に思っています)

 

『若き日のカフカ

K・ヴァーゲンバッハ著

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研究向け  ★★★★★

読み物向け ★★★☆☆

カフカの蔵書一覧、父親、プラハの街並みなど彼を取り巻き影響を与えた物や状況を解説しています。

そんなにカフカに興味のない人が読んでもつまらないかもしれませんが、研究するなら読む必要はあるでしょう。

 

フランツ・カフカ

マックス・ブロート著

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実はまだこの本は読んでいません。

ブロートはカフカの大変親しい友人ですから(ブロートは編集者としてカフカの作品を編纂した)、そのうち読まないといけませんね。

この本の内容については聞いた話ですが、カフカの事について友人らしい観点から批評する、というスタイルのようです。

あと「カフカ―その信仰と思想」という本も彼の作品だそうですね。

ただ読むときには視点の客観性を保つためにも、ブロートがシオニズムに傾倒している、ぐらいの知識を持っていたほうがいいかもしれないと思っています。

 

カフカ全集』

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一応カフカの作品を出しておきます。

文庫ではないものの、カフカを読むなら新潮の全集がおススメ

書籍・論文も新潮に準拠して書かれているものが多いからです。

  • 『失踪者』(『アメリカ』)
  • 『変身』
  • 『審判』
  • 『城』
  • 『ある戦いの記録』
  • 『判決』
  • 流刑地にて』
  • 『田舎医者』
  • 『掟の門』
  • 『家父の気がかり』
  • 『断食芸人』

 ぐらいとあと大量の手紙が彼の作品のメジャー?どころだと思います。

 

カフカの解読 徹底討議「カフカ」シンポジウム』

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カフカについて日本の第一人者たちがああだこうだ言い合ってる本です。

研究内容に対して一つずつ討論していく、研究者同士の(雑誌の取材みたいな)対談形式になっています

参考文献としては挙げづらいかとは思いましたが、色んな意見があることが分かって興味深いです。

 

 

さて、探していた本は見つかりましたか?

カフカは人間的にも非常に魅力ある人物なので、彼について調べることは大変楽しいことです。

そのうちまた面白い本を見つけたらぼちぼち更新しようと考えています。

 

この記事で紹介した商品のリンク先はほとんどが中古品なので、リンク切れになっていた場合はお手数ですがコメントいただければ幸いです。